病院概要

ごあいさつ

掃本誠治
病院長 掃本 誠治

 令和3年度が始まりました。年度の初めは人の流れが大きく組織の改編もあり、個人も組織も期待に夢を膨らます時期ですが、今年も新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の影響を払拭できない中でのスタートです。ワクチンの接種が始まり徐々に多くの人に行き渡れば、収束はそんなに遠くないと思いますが、COVID-19により亡くなられた方、ご遺族の方に心からお悔やみ申し上げますとともに、今もなお闘病されている方々に心よりお見舞い申し上げます。

 当院では、新型コロナウイルス感染症に対して、昨年4月から入院、外来(発熱外来)におきまして自治体病院として与えられた役割を果たして参りましたが、行政(保健所を含めまして)、高次医療機関、医師会等の皆さまには大変御世話になりました。この場をお借りしましてお礼申し上げます。感染の不安が常にある中で、全職員に感染対策を念頭に置いた行動が求められ、いつしかそれが当たり前のようになりました。引き続き、新型コロナのみならず、一般診療を含めまして全職員、感染対策にあたりながら診療・業務にあたる所存です。

 新型感染症の拡がりで一般企業ではテレワーク、在宅勤務、医療でも遠隔医療・診療が進む中、医療の現場は看護師、医師、メディカルスタッフ、事務等の“ひと”が病棟、外来にいないとどうしようもない職域であり、現場での“ひと”の動きが重要です。ただ、ご家族の面会制限には心が痛みました。他施設でも行われていることですが、病棟にWi-Fiを繋げてタブレット型コンピュータ(iPad)を配置して、遠隔のご家族のスマートフォンと患者さま側のiPadと“リモート面会“を始めました(高齢者でも看護師のサポートにより可能です)。本来はコロナ禍が収束し対面に勝ることはないですが普及を期待したいと思います。

 さて、診療に移りますと、4月から新たに4名の常勤医師が着任致します。増員として、呼吸器科 鈴村智子先生、代謝・糖尿病科 櫻田郁先生、循環器科 福田仁也先生、交代として消化器外科 松本千尋先生です。また、非常勤ですが、腎臓内科専門外来を開設致します。熊本大学病院各講座の教授先生、医局長先生のご支援に感謝申し上げます。受入可能な患者さまを積極的に受け入れ、出来ることと出来ないことを区別して市中心部の高度急性期病院と地域の橋渡し役として活躍を期待しています。

 昨年度は、救急診療部を立ち上げ訪問看護ステーションを独立させました。いずれも、コロナ禍の中、感染対策を十分に行いながら地域医療に貢献しています。また、くまもとメディカルネットワーク、脳卒中地域連携パスに加わりました。今年度は心不全療養指導士が5名認定されます。心不全患者においては急性期から亜急性期、慢性期に至るまで、入院・外来治療、リハビリテーション、食事・運動・薬剤などの生活指導、訪問看護など切れ目のない心不全管理が必要ですが、当院では看護師、理学療法士、薬剤師、管理栄養士等の心不全療養指導士資格を有するスタッフと循環器専門医の多職種による介入でいわゆる“心不全パンデミック”に対応致します。

 当院医療圏の人口動態推計では、人口の微減に対し高齢化率の上昇により(2025年予測35%)、慢性疾患の増加、要介護・要支援者の増加が見込まれます。高度急性期病院からの患者受入による慢性期の医療、看護、リハビリである従来の水平分業型役割を発展させながら、着任当初から掲げる“地元でできることは地元で”の方針に則り、近隣開業医さまとの連携を深めて急性期から慢性期の入院医療、訪問看護、緩和ケア等を通して切れ目のない医療・看護を提供する垂直統合型医療も必要と考えます。当院の基本理念である信頼と満足の得られる全人的医療の提供を忘れず、全職員(看護、医療、メディカルスタッフ、事務、委託部門の全てを含めて)一年を通して地域の保健・医療・福祉に貢献したいと存じますので、今年度も皆さまのご指導・ご支援を賜りますよう宜しくお願い申し上げます。